鉄鋼などに高関税を課す米国による輸入制限では、中国が制裁発動で対抗する一方、日本は「対抗措置の応酬は自由貿易の崩壊につながる」(世耕弘成経済産業相)として、米国に粘り強く適用除外を働き掛けている。韓国に至っては適用除外と引き換えに、鉄鋼の輸出制限をトランプ米政権にのまされるなど、日中韓の戦略は大きく異なる。
そもそも、トランプ氏の対外強硬姿勢は、鉄鋼の過剰生産など中国の不公正な貿易が発端だ。首脳会談で安倍首相は中国を念頭に、「過剰供給能力は構造的な問題だ」などと指摘。知的財産の保護にも言及せざるを得ず、日中韓による共同歩調の限界も露呈した。(大柳聡庸)
◇
■日中韓の主な対米通商戦略
・日本
米国の鉄鋼輸入制限に対し、安全保障上問題ないとして適用除外を要請。TPPへの復帰も米国に働き掛ける
・中国
4月、米国の輸入制限の報復として米国産の果物や豚肉に高関税を課す制裁を発動
・韓国
米国の輸入制限の適用除外と引き換えに、鉄鋼輸出量を7割に抑える条件を受け入れる