
4月17日、日米首脳会談でトランプ米大統領と握手する安倍首相=米フロリダ州パームビーチ(共同)【拡大】
米中両政府が通商問題をめぐり協議する中、日本は両国のはざまで難しい対応を迫られている。日本は、中国による知的財産侵害などへの対応で米国と共同歩調を模索する一方、米国は鉄鋼の輸入制限などで対日強硬姿勢を崩さないためだ。今後も中国の不公正貿易に米国と連携して対処する考えだが、トランプ政権の出方次第では、日米の足並みが乱れる恐れもある。
「日米がリードして、インド太平洋地域に自由で公正な市場をつくろう」。安倍晋三首相は4月の日米首脳会談で、トランプ大統領にこう語りかけた。
安倍首相の念頭にあるのは、不公正貿易を続ける中国への対抗だ。模倣品の横行など知財侵害や、補助金などを出して国有企業を優遇するといった競争環境をゆがめる中国の措置について、日米は是正を求める考えを共有している。
ただ、トランプ氏は3月に鉄鋼などの輸入制限を発動。これに対し日本は今月18日、対抗措置の準備を世界貿易機関(WTO)に通知した。実際に対抗措置を発動するかは今後判断するが、トランプ氏の対日強硬策に苦慮している。
一方、米国は中国による知財侵害を理由にWTOに提訴。中国の技術移転の強要問題をめぐり、米国は日本との連携を探る。だが、日本の経済官庁幹部は「輸入制限で日本への配慮がなければ、知財問題で共同歩調を取るのが難しくなるかもしれない」とこぼす。
3月にベルギーで開かれた日米と欧州連合(EU)の貿易担当相会合は、中国による鉄鋼の過剰生産や知財侵害への対応で連携を確認するのが主眼だった。しかし、議論の多くの時間を米国の輸入制限に割かざるを得なかった。トランプ政権の対外強硬姿勢が日米欧の“対中包囲網”にも影を落としている。(大柳聡庸)