日本政府は取引カード化を警戒 米の自動車高関税検討、新通商協議に火種 (1/2ページ)

横浜・大黒ふ頭で自動車運搬船に積み込まれる輸出用の自動車
横浜・大黒ふ頭で自動車運搬船に積み込まれる輸出用の自動車【拡大】

 トランプ米政権が23日、自動車に高関税を課す輸入制限の検討に入ったことを受け、日本政府は新たな取引カードとされることを懸念している。トランプ米政権は鉄鋼などの輸入制限を3月に発動したが、適用除外と引き換えに自国を有利にするため自由貿易協定(FTA)交渉を求めるなど、対日要求を強めているからだ。米国が実際に発動するかは流動的だが、今回の措置が日米の新たな火種になりかねない。

 「世界の市場を混乱させる」。世耕弘成経済産業相は24日、報道陣の取材に対し、米国による自動車の輸入制限に懸念を示した。米国が自動車に高関税を課せば各国の強い反発は必至で、仮に報復措置の応酬になれば、貿易の縮小を通じ世界的な景気悪化を招きかねないからだ。

 菅義偉官房長官も24日の記者会見で、「いかなる貿易上の措置も世界貿易機関(WTO)協定と整合的であるべきだ」と述べ米国を牽制(けんせい)。日本の立場を米国に伝えていく考えを示した。

 政府が警戒するのは、今回の措置をトランプ米政権が「取引の材料にする可能性がある」(経済官庁幹部)ことだ。茂木敏充経済再生担当相が窓口となり6月にも日米の新しい通商協議が始まる。この際、米国は日本の譲歩を引き出すため、自動車の輸入制限をちらつかせる懸念がある。

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