満身創痍の財務省、モザイク人事限界に 次官人事、本命「見送り?」で意外な2人が浮上 (4/4ページ)


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 橋口氏は新設の国土庁の次官へと異動になり、大蔵次官には田中氏が推す主税局長の高木文雄氏(43年入省)が就任。一連の過程は、「角福代理戦争」とも称された。主計局長が次官になれなかったケースは、旧大蔵省、財務省の歴史で極めてまれだ。

 財務省の将来の次官候補は、大学時代や国家公務員採用試験の成績も加味し、入省時から絞り込まれていく。全省庁の予算編成権を握る主計局の主査から主計官、主計局次長、主計局長を歴任するのが王道コースだ。この間、国会との連絡や省内各局間の調整を担う文書課長、人事に関する業務を扱う秘書課長などのポストに就任し、組織運営のあり方についても経験を積んでいく。

 数年に1度、「本命中の本命」とされる大物次官を輩出するのも特徴だ。最近では、2010年から2年間務めて消費税増税法案を成立に導いた勝栄二郎氏や、病気で同期より1年遅れつつも14年に次官に就任した香川俊介氏(1979年入省)がいる。10年先まで緻密に人材配置を組み上げる「モザイク人事」はOBの処遇でも徹底されている。

 ただ、今回の不祥事は人事が硬直化し、危機に際して柔軟に人材を登用できない実態を浮き彫りにした。財政再建など難題も山積する中、最強官庁は人事の改革を迫られている。(山口暢彦)