【中国を読む】「ハードウエアのシリコンバレー」へ 深セン、勃興するイノベーション (1/3ページ)

スタートアップが開発したコーヒーをいれるロボット=中国深セン市(光明日報厳聖禾氏提供)
スタートアップが開発したコーヒーをいれるロボット=中国深セン市(光明日報厳聖禾氏提供)【拡大】

  • スタートアップが開発したハイテク製品を体験する人たち=中国深セン市(光明日報厳聖禾氏提供)
  • 丁可氏

 □ジェトロ・アジア経済研究所 丁可

 中国の深セン市は、かつて消費者向け電子製品の産業集積地として知られていた。しかし、近年、イノベーション活動が盛んに行われるようになり、「ハードウエアのシリコンバレー」としての地位を固めつつある。深センの1人当たり国内特許申請件数は、大学や研究機関が多い北京や上海を上回って中国で首位に立つ。国際特許(PCT=特許協力条約=ベース)の累計申請件数も2016年までに7万件近くに達し、東京都に次ぎ世界で第2位となった。深センの最近の動向を報告する。

 ユニコーンが急成長

 深センのイノベーション活動において、ファーウェイやZTE、テンセントといった大企業とともに、まだ、起業からの年数が短いスタートアップが重要な役割を果たしている。

 例えば、12年に発足した柔宇科技(Royole)は、14年に世界で最も薄い0.01ミリの超薄型フレキシブルディスプレー「AMOLED(アクティブ・マトリックス有機発光ダイオード)」およびフレキシブルセンサーの開発に成功した。13年に設立された奥比中光(Orbbec)は米アップルやマイクロソフト、インテルと肩を並べる3D(3次元)カメラセンサーの世界的なメーカーだ。

 深センの強みは、柔宇のようなイノベーティブなスタートアップをごく短期間にユニコーン企業(未上場だが企業価値が10億ドル=約1100億円=超のハイテクスタートアップ)に育て上げられることである。

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