総務省は28日、郵便局の活性化策を議論する有識者会議を開き、郵便局の新たな役割に関する答申の骨子を示した。テレビ電話を使って行政手続きを支援するなど、市町村の窓口業務の受託拡大を提言。郵便車両にカメラなどのセンサーを取り付け、高齢者や児童を見守るサービスや空き家情報の提供など、高齢化や人口減少に対する公的な役割も盛り込んだ。
骨子では、地域の偏りなく全国に2万4000局ある郵便局のネットワークの強みを強調。過疎化で公共サービスが低下する自治体を補完する役割を担うよう提案した。6月中にも有識者会議の答申をまとめる。
具体的には、住民票の写しなど、各種証明書の交付に限られている市町村の窓口事務の受託範囲を拡大する。自動入力システムやテレビ電話などの情報通信技術(ICT)を活用して、郵便局から戸籍の届け出といった行政手続きができるようにする。
内閣府の通知では、市町村事務の民間委託は「市町村の適切な管理」を求めている。証明書交付などの限られた業務を除き、事務の大半は庁舎内で実施することが前提となっており、総務省は制度改正の必要性などを検証する。
さらに、郵便配達中に道路の破損を見つけて自治体に情報提供するサービスなども例示された。参加した委員は「新サービスにかかる費用を日本郵便だけでまかなうのは難しい。自治体と連携するのが有効だ」と指摘した。
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■郵便局活性化委員会の提案の骨子(郵便局に期待される役割/具体例)
・地方自治体の窓口事務を受託/テレビ電話でオンライン行政手続き支援
・暮らしの安心安全情報の収集/郵便車両、ポストにカメラを設置し、高齢者や児童を見守り
・住民生活の支援/農産物の集荷と配送、市販薬の販売など
・地域の情報発信、交流拠点/局舎で地域イベントを開催。手荷物預かりなど
・サービスの多様化/クレジットカード、電子マネー対応などのキャッシュレス化