【専欄】「性の都」東莞の変貌ぶり IT関連の先端産業が誕生 (2/2ページ)

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 ところがGDP伸び率は過去数年、8%台を維持していて、全国平均をやや上回る勢いなのだ。Aさんに理由を聞いてみると、加工貿易に代わって、IT関連の先端産業が急速に伸びてきたからと言う。

 隣接する深センが大化けしたことはよく知られている。華為(ファーウェイ)、騰訊(テンセント)、比亜迪(BYD)、中興通訊(ZTE)といったハイテク企業が相次いで誕生し、ベンチャー支援のプラットフォームも数多く登場している。こうした深センの勢いが東莞にも少しずつ入り込んできたようだ。

 その代表がOPPO(オッポ)である。昨年のスマートフォン出荷台数では、韓国サムスン、米アップル、華為に次ぐ第4位のシェアを確保した。オッポの工場は東莞にある。東莞と言っても深センに近く、この辺りは賃金も比較的安い。

 Aさんによると、習近平政権になってから、性風俗産業への大規模な摘発が行われ、すっかり町の雰囲気も変わってしまった。いまでもネオンは消えていないが、ビルの中ではベンチャー企業の若者たちが明日の成功を目指して研究に没頭しているという。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)