地方政府、FCV普及を推進 水素ステーション設置や公共バス投入計画

 中国の地方政府が、二酸化炭素(CO2)を出さず水素と酸素を化学反応させた電気で走行し「究極のエコカー」と称される燃料電池車(FCV)の普及に向けた政策を進めている。中央政府が電気自動車(EV)の普及を主導する中、FCVの中国での市場拡大を見据え、日系企業も商機を探っている。

 「先進的な取り組みを積極的に上海に紹介してもらいたい」。4月中旬、上海市で開かれた国際技術展示会。上海市トップの李強・市共産党委員会書記が、計量器メーカーのタツノ(東京)の水素充填(じゅうてん)機器が置かれた横浜市のブースを訪れ、呼び掛けた。

 2017年9月に上海市は、2025年までに水素ステーションを50カ所建設し、FCV乗用車を2万台以上普及させ、産業規模を1000億元(約1兆6600億円)以上に成長させるとした計画を発表。今年2月には産業団地を開業させた。広東省仏山市も19年までにFCVの公共バスを2000台投入する計画を進めている。

 中国政府が次世代車の主力に位置付けるEVはメーカー各社が開発にしのぎを削る。普及が急速に進めば電力供給不足が問題となる恐れがある。

 FCVは、天候に大きく左右される太陽光や風力といった再生可能エネルギーで発電した電気をいったん水素に置き換えて貯蔵できる利点がある。タツノの竜野広道社長は「10年後にはFCVの時代が来る」と話す。

 車両自体や水素ステーションの価格が高いことなどから普及が遅れているが、竜野氏は「技術が進み普及すれば価格は下がる。市場規模が大きく、開発・普及のスピードが速い中国は有望だ」と強調。現時点で市場参入する方が得策だとし、将来的な現地生産も視野に入れる。

 一方、トヨタ自動車は江蘇省常熟市の研究開発拠点に水素ステーションを設け、昨年10月からFCV「MIRAI(ミライ)」による実証実験を開始。今後は実験対象をバスなど商用車にも広げる予定で、中尾清哉常務役員は地方政府との協議を進め、中国でのFCV導入の可能性を探るとしている。(上海 共同)