【太陽の昇る国へ】社会保障のグランドデザインの提示を

骨太の方針決定へ臨時閣議に臨む茂木敏充経済再生担当相(左から3人目)、安倍晋三首相(同4人目)ら=6月15日、首相官邸
骨太の方針決定へ臨時閣議に臨む茂木敏充経済再生担当相(左から3人目)、安倍晋三首相(同4人目)ら=6月15日、首相官邸【拡大】

 □幸福実現党党首・釈量子

 --社会保障政策の現状をどうとらえますか

 今月15日に、政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」が閣議決定されました。しかし、残念ながら、社会保障政策の具体的ビジョンが十分に示されているとは言えません。

 日本は、団塊世代が75歳以上となる“2025年問題”や、高齢者の数がピークとなる“2040年問題”をはじめ、少子化に端を発する人口の構造的問題に直面しています。

 そして、年金制度において、高齢者をそのときの現役世代で支える「賦課方式」が採用されるなど、世代間の不公平をもたらしている社会保障制度自体にも、本質的な問題があると言えるでしょう。

 “支えられる側(65歳以上)”1人に対し、“支える側(20~64歳)”の人数は、1965年が9.1人、2012年が2.4人、2050年は1.2人であると推計されています。

 これに従えば、今後、現役世代に対するさらなる増税や、保険料負担の増大が強いられることも、十分に想定されます。

 日本は今、制度のあり方の見直しを含め、問題解決に向けた抜本策を提示しなければならない状況にあるのではないでしょうか。

 --あるべき方向性は

 まず、高齢者に関して、“支えられる立場”から“支える立場”へと考え方を変容させる必要があると思っています。

 マレーシアでは92歳のマハティール氏が首相に返り咲き、アメリカでは72歳のトランプ氏が大統領として重責を果たしています。昨年亡くなられた渡部昇一先生も、生涯にわたって言論活動を続けてこられました。

 現在行われているFIFAワールドカップ・ロシア大会では、サッカー日本代表・西野朗監督(63歳)がこれまでの経験を生かして好采配を振るっています。これからのシニア世代の方々に、末永くご活躍頂けるよう、幅広く環境整備を行う必要があるのではないでしょうか。

 最近、与党から、「エイジフリー社会」到来の必要性の認識が示されましたが、毎年およそ1兆円にのぼる社会保障費を増加させ続け、「増税やむなし」という状況を形成しようとしてきたのもまた、政権与党です。

 私はかねて、“生涯現役社会”の必要性を訴えてきました。税負担の圧迫などにより、シニア層の増大が若者のやる気や気力を失わせるような社会ではなく、年配の人と若い人が共存して繁栄する社会の実現こそが大事だと考えています。

 2017年版高齢社会白書によると、現在働いている60歳以上の方のうち、約8割が「今後も仕事を行いたい」との旨を回答しているように、シニア世代は働くことに対してポジティブに捉えています。

 --生涯現役社会をどう実現させますか

 こうした社会を到来させる前提として、健康寿命をいかに延伸させるかが重要になってきます。日本の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳(2016年)ですが、介護などを必要としない同年の健康寿命は、男性72.14歳、女性が74.9歳と、両者には大きな開きがあります。

 これに関して、長野県の高齢者就業率を見ると、男性38.5%、女性19.7%(2012年)で共に国内トップである一方、1人当たり医療費は、他の都道府県と比べて低水準を維持しています。

 予防医療などで高齢者の健康増進を図れば、高齢者の就業を推し進められるばかりか、医療費を含め、社会保障費の抑制につながる可能性も指摘できるわけです。

 総じて、あるべき社会保障像に向けては、社会保障費が拡大し続ける流れを食い止めるためにも、75歳定年制社会への移行といった、生涯現役社会に向けた取り組みを進めなければいけません。同時に、年金制度を「積み立て方式」へと移行させたり、健康保持に大きなメリットを与えるような医療保険制度の構築を検討したりと、抜本的な制度改革を進めるための議論を開始すべきだと考えます。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。