エネルギー基本計画閣議決定 原発比率20%の達成危うく 再稼働進まず、廃炉相次ぐ


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 エネルギー基本計画では原子力発電を基幹電源に位置づけつつも、建て替えや新増設の必要性に踏み込まなかった。2030年度の電源構成のあるべき姿として、原発の比率は20~22%(足元は数%)としているが、核となる再稼働は円滑に進まない上、廃炉を決定・検討する原発も相次ぎ、目標達成が危ぶまれる。

 30年度に原発比率20~22%を達成するには、30基程度の稼働が必要とされる。ただ、新規制基準下での再稼働は、直近の九州電力玄海原発4号機(佐賀県)を含めても5原発9基だ。

 既に原子力規制委員会の安全審査に合格済みの後続候補としては、関西電力の高浜原発1、2号機と美浜原発3号機(福井県)、東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)がある。このうち、柏崎刈羽をめぐっては6月に就任した新潟県の花角英世知事が再稼働に慎重な姿勢で、再稼働の時期は見通せていない。

 一方、老朽化で安全対策費の拡大が見込まれるなどの事情から、廃炉となる原発も相次ぐ。全国で廃炉が決定もしくは廃炉作業中のものは9原発18基。さらに6月には東電の小早川智明社長が福島第2原発(福島県)の全4基の廃炉を検討すると表明し、検討中を加えれば10原発22基となる。

 今回のエネルギー基本計画の改定では、2050年に向けて原発を「脱炭素化の選択肢」と位置づけ、将来の活用に含みを残した。だが、裏付けとなる建て替えや新増設に正面から向き合ったとはいえず、課題を先送りした形となった。    (森田晶宏)