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映画のモデルは、当時一世を風靡(ふうび)していた討論番組「実話実説」の人気キャスター、崔永元氏ではないかとされた。今回の告発者だ。事実、物語の元となった話を、崔氏は馮監督と脚本家に語ったというが、映画は彼に無断で製作されたらしい。映画のモデルと言われたことで崔氏と家族は大衆の好奇の目にさらされ、彼は中央電視台も辞め、長年鬱病に苦しんだ。映画で浮気相手を演じ、その後大スターへの道を駆け上がったのが、範さんだ。
崔氏が今回怒りを再燃させたのは、映画の続編が同じスタッフ・キャストで製作されることが分かったからだ。再び彼に無断である。
崔氏の告発で、まず税務当局が動き出した。脱税の有無をめぐって、調査に乗り出したのである。そればかりではない。今やハリウッドをしのぐといわれる中国のエンターテインメント企業の株が軒並み急落した。
事件が芸能界の枠を超え、ここまで大きくなったのは、世論の存在がある。友人の某中国人は言った。「庶民の7割は崔永元の告発のほうを信じている」
税の不公平に対する怒りは、まさに世界共通である。(ノンフィクション作家・青樹明子)