【経済インサイド】3つの好機重なる「千載一遇のチャンス」 商業捕鯨、再開なるか (2/3ページ)

和歌山県太地町には、巨大なクジラの骨が屋外に展示されている(八木景子さん提供)
和歌山県太地町には、巨大なクジラの骨が屋外に展示されている(八木景子さん提供)【拡大】

  • 捕鯨の伝統と食文化を守る会ではクジラを使ったさまざまな料理が振る舞われた=6月7日、東京都千代田区(米沢文撮影)
  • 熱気に包まれた捕鯨の伝統と食文化を守る会の会場。壇上には日本の調査捕鯨船の大漁旗が掲げられた=6月7日、東京都千代田区(米沢文撮影)
  • 捕鯨の伝統と食文化を守る会ではクジラを使ったさまざまな料理が振る舞われた=6月7日、東京都千代田区(米沢文撮影)
  • 2014年5月に和歌山・太地沖で水揚げされたマゴンドウ
  • 捕鯨の伝統と食文化を守る会ではクジラを使ったさまざまな料理が振る舞われた=6月7日、東京都千代田区(米沢文撮影)

 日本はその後、クジラ資源評価の裏付けとなるデータを収集するため、調査捕鯨に着手。胃の内容物や排泄(はいせつ)物を分析してクジラが食べているものを把握したり、内臓組織から環境汚染の影響を調べたりした。

 その結果、南極海でのクロミンククジラの繁殖集団の分布やナガスクジラの資源回復、北西太平洋では日本人がよく食べるサバやサンマ、カツオなどをクジラが大量に消費している実態などが分かってきた。

 日本は2014年、調査で得られたデータを示し、北西太平洋のミンククジラについて商業捕鯨17頭の漁獲枠設定を提案したが、否決された。反対した国々に公開質問状を送ったが、科学的・法的に明確な反対理由は示されなかった。

 前回16年のIWC総会で、日本は反対の根本的理由が科学的な根拠ではなく、クジラや捕鯨に対する政策的立場の違いにあると指摘。今年の総会でも科学的・法的な議論を主導したい考えだ。

 日本にとって2つ目の好機として、今年のIWC総会では先住民の生存に必要な捕獲枠が議論される。IWCは商業捕鯨の一時停止後もイヌイット(米国)やチュクチ原住民(ロシア)などに例外的に捕獲枠を認めてきた。

 日本も北海道・網走や宮城県・鮎川、千葉・和田、和歌山・太地の沿岸で続けてきた小型捕鯨も先住民生存捕鯨と同等に扱うよう主張してきた。先住民の来年以降の捕獲枠が議論されるタイミングで、日本の沿岸小型捕鯨のあり方も議論される可能性はある。

進む国内の法整備