米IT企業のビジネスモデルにEU不信 課税逃れ・独占状態に風穴、大手相次ぎ摘発 (1/3ページ)


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 欧州連合(EU)が競争法(独占禁止法に相当)違反で米IT大手グーグルに過去最高の43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を科した。EUは近年、巨大な米IT企業を相次ぎ摘発。背景には圧倒的な市場シェアと膨大なデータを駆使し、莫大(ばくだい)な利益を挙げてきたビジネスモデルへの不信感がある。米国とは貿易摩擦を抱える中だけに、その行方に与える影響も注視される。

 課税逃れに危機感

 「支配を固める道具にアンドロイドを使った」。18日の発表時、EUのベステアー欧州委員(競争政策担当)がグーグルを批判する口調は厳しかった。

 欧州委によると、携帯端末向け基本ソフト(OS)のアンドロイドのシェアは欧州、世界ともに約8割。グーグルはこの強い立場を利用し、アンドロイドと検索エンジンなど自社アプリをあらかじめ一緒に搭載するようメーカーに強要。金銭的優遇も与えていた。

 この結果、「ライバルは競争する機会、消費者は競争による恩恵を奪われた」(ベステアー氏)。EUが違法と判断した理由だ。

 ただ、EUが米IT大手を標的にしたのは初めてでない。頭文字から「GAFA」と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック(FB)、アマゾン・コムはここ数年、競争法違反や「課税逃れ」で次々と摘発された。EUの厳しい姿勢には、これらの企業が経済のグローバル化やデジタル化の中、法の編み目をかいくぐるような手法で荒稼ぎしているとの不信がある。

独占状態に風穴