国連、北朝鮮へのスポーツ用品輸出を認めず IOCが東京五輪理由に例外措置求めるも米国却下

17日、卓球の韓国オープン予選に出場した北朝鮮の女子選手=大田(共同)
17日、卓球の韓国オープン予選に出場した北朝鮮の女子選手=大田(共同)【拡大】

 【ニューヨーク=上塚真由】国際オリンピック委員会(IOC)が、2020年東京夏季五輪などに向け北朝鮮へのスポーツ用品輸出を例外として認めるよう国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会に要請し、米国が異議を申し立てていたことが26日、分かった。国連外交筋が明らかにした。米国側の異議で要請は却下された。

 安保理の北朝鮮制裁決議では、北朝鮮へのぜいたく品の輸出を禁じており、「娯楽用のスポーツ用品」も対象としている。

 国連外交筋によると、IOCはバッハ会長名で3日、五輪の準備のために必要なスポーツ用品を制裁の対象外とするよう求める書簡を送付。米国は25日に異議を申し立てたという。

 米国連代表部は産経新聞の取材に異議についてコメントしないとしたが、「われわれは北朝鮮の非核化の見通しについて楽観視しているが、制裁の完全な履行が非核化につながる」と回答した。

 IOCのバッハ会長は3月に北朝鮮を訪問し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談。北朝鮮側は五輪参加に意欲を示したとされる。

 6月のシンガポールでの米朝首脳会談後、北朝鮮の非核化協議は進んでおらず、安保理では中国やロシアが制裁緩和に向けた動きを模索し、米国は警戒を強めている。