持続的成長は人材・AIなどが鍵に 経財白書「戦後最長の景気拡大迫る」

閣議後に記者会見する茂木経済再生相=3日午前、東京都千代田区
閣議後に記者会見する茂木経済再生相=3日午前、東京都千代田区【拡大】

 茂木敏充経済再生担当相は3日の閣議に、2018年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書は「わが国経済は12年11月を底に緩やかな景気回復が続いている」として、戦後最長の「いざなみ景気」(02~08年、73カ月間)に迫っていると指摘。今後の持続的な経済成長の実現には、人材投資に向けた「学び直し」や、起業家精神といった「イノベーションへの適合力」の強化などが重要と提言した。

 白書の副題は「今、ソサエティー5.0の経済へ」。人工知能(AI)やロボットなど「第4次産業革命」の動きを確実にとらえ、デジタル化で社会変革を図る「ソサエティー5.0」の実現を世界に先駆けて進める姿勢を強調した。

 景気回復の要因として世界経済の回復や女性・高齢者の就業促進による雇用・所得環境の改善などを列挙。近年、実質国内総生産(GDP)の伸びが経済の実力を示す「潜在成長率」を上回っており、今後は潜在成長率の引き上げが重要と訴えた。

 ただ、人手不足により運輸、建設業などで業務縮小を迫られた例が出ていると報告。人材活用のために大学などでの「学び直し」や、柔軟な働き方を認める改革を唱えた。

 また、AI関連特許や製造業のロボット化といったイノベーションの「基礎力」は高い半面、それらを生かした「適合力」が遅れがちと指摘。新技術の実用化や研究開発の国際連携が急がれるとした。