フィンランド、看護や保育などが一つの資格 福祉分野で少数・柔軟対応

ベーシックインカムを社会実験中のフィンランド。首都ヘルシンキの市場は多くの市民や観光客でにぎわう=6月(共同)
ベーシックインカムを社会実験中のフィンランド。首都ヘルシンキの市場は多くの市民や観光客でにぎわう=6月(共同)【拡大】

 「血糖値を測りましょう」。フィンランドの首都ヘルシンキ近郊の都市ポルボー。「ラヒホイタヤ」の資格を持つテーリカンガス里佳さん(46)が、自宅で夫と暮らす女性(85)に話しかけた。

 ラヒホイタヤは、准看護師、保育士、ホームヘルパー、歯科助手などを統合した資格で、「日常のケアをする人」を意味している。少子高齢化社会になった時の人手不足への対応とサービスの質向上を目的に、1993年に誕生した資格だ。

 日本生まれで結婚を機にフィンランドに移住した里佳さんは、3年前にラヒホイタヤになった。訪問看護・介護が専門で1日に10~20人程度の高齢者宅を回る。服薬や血圧のチェック、皮下注射、傷の手当てだけでなく、洗濯や食事も手伝う。利用者の体調のデータをその場でスマートフォンに入力し医師や看護師と共有する。「自分のペースで働けるし、仕事に裁量があるのでやりがいがある」と笑顔を見せる。

 フィンランドでは5万人以上がラヒホイタヤとして働く。求人も多く、社会人から学び直して資格を取る人も多い。1人で複数分野の仕事をこなせるため少人数で柔軟にサービスを提供できるのがメリットだ。

 また、将来少子高齢化が進み仕事のニーズが変化しても、例えば保育士から介護職に移れるなど雇用対策としても期待がかかる。

 福祉分野で人材不足が深刻な日本は、厚生労働省が2015年にラヒホイタヤを参考に保育や介護の資格統合を検討した。しかし関係団体から「求められる技能が異なる」と強い反対が起き、実現は見送られた。