政府は、農業の競争力強化のため、気象や土壌などの関連情報を集積したデータベースをつくり、担い手や企業に開放する方針を決めた。農作業の効率化や農産物の品質向上に役立ててもらうのが狙いで、2019年4月の本格運用を目指す。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効などを見据え、安価な海外産農産物の流入増に備える思惑もありそうだ。
政府が構築するのは気象や土壌、農地の区画などの情報を集めた「農業データ連携基盤」。農家や農機メーカーなどが基盤にアクセスしてデータを活用する。17年12月に試験運用が始まった。
背景には貿易自由化の進展がある。日本はTPPに加え、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効も控える。海外農産物との競争激化は必至だ。今月から始まった米国との閣僚級貿易協議では一段の市場開放を迫られており、農業強化が急務になっている。
農機メーカーは、データを活用した営農管理ソフトを独自に開発しているが、さまざまな情報を農家が一元的に利用できる仕組みはなかった。政府は、利用できる情報が飛躍的に増えることで、生産技術や農産物の品質が向上すると期待する。
基盤には農産物の流通状況や市況情報も登録する。農家は商品が不足している市場にタイミング良く出荷したり、需要が高い作物の栽培面積を増やしたりして、収益拡大につなげることができそうだ。
農機メーカーや有識者らでつくる「農業データ連携基盤協議会」の神成淳司会長(慶応大教授)は「情報を提供する企業が増えることで競争が発生し、より有益な情報が集まる。それを活用することで、農業強化につながる」と話している。