経済インサイド

総務省と自治体の対立いまだ…ふるさと納税、見えない「着地点」 (3/4ページ)

 また、同県基山町は地元出身の人気漫画家、原泰久氏の「キングダム」漫画本セット(30~50冊)を返礼品にしている。ただ、ふたを開ければ、提供事業者は地元の書店で、原氏のサインがもらえるといった地元ならではの特典はない。同町の担当者は「他の市町村の動向をみて決める。自分たちだけが(返礼品の額を)下げるわけにはいかない」と自治体間の競争をあおるような制度自体への批判を口にする。

 滋賀県近江八幡市は「姉妹都市(北海道松前町)の海産物を返礼品にしているが、相手も承諾しているのに悪い例とされて困惑している」という。

 こうした返礼品競争に対し、総務省が推奨するのが、用途を限定したふるさと納税だ。

 東京都文京区が実施した経済的に困窮している子育て世帯への「こども宅食」(弁当や総菜を無償で定期的に配るサービス)には、返礼品がないにもかかわらず、多数の寄付が集まった。

 一方、岡山県玉野市は地元出身の漫画家、いしいひさいち氏の「ののちゃん」をイメージキャラクターにしており、ふるさと納税で着ぐるみ更新などの費用を募った。ただ、ののちゃんは同市のイメージキャラクターというより、朝日新聞朝刊の4コマ漫画の主役として知られている。地域振興にどれだけ貢献できるかは未知数だ。

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