【大学発 日本 人と技術】日本を支える研究活動と技術開発

4度目の優勝を喜ぶ工学院大ソーラーチーム
4度目の優勝を喜ぶ工学院大ソーラーチーム【拡大】

  • 新たに発見された首長竜の頸椎骨
  • 地域連携技術研究協力会(HITスクエア)の合同研究部会を開催
  • 「夏季守口市教職カレッジ」を開催
  • 深谷市立榛沢小学校でスクラッチプログラミングの指導を実施

 ■国内最長ソーラーカーレース 粘り強さで4度目の優勝達成

 ≪工学院大学≫

 ソーラーチームが8月7日から秋田県大潟村で開催された国内最長レース「ワールド・グリーン・チャレンジ」で優勝した。同レースには隔年参戦しており、優勝は2012年、14年、16年に続き4度目。レース初日には他車との接触、2日目にはマシンがコースアウトするトラブルがあり、一時は4位まで順位を落としたが、その後の落ち着いたレース運びで粘り強く巻き返した。また、全クラスの中でもトップの周回数(48周)を記録し、総合優勝を飾った。

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 ■首長竜と翼竜の共存が判明

 ≪東京都市大学≫

 知識工学部自然科学科 中島保寿准教授らの研究チームは、同チームが2003年に翼竜の化石を発見した三笠層(北海道三笠市)で、首長竜の化石(頸椎骨)を発掘し、両者が約1億年前の白亜紀中頃に、現在の北海道相当地域で共存していたことを明らかにした。厚さわずか30センチほどの全く同じ地層から多様な生物化石の群集が見つかることは極めてまれなことで、同時期・同地域に生息した生物の組み合わせ(生物相)を示すものとしても注目されている。また、今回の発見は、当時の北太平洋域の生態系の全体像を明らかにするとともに、現在の生態系の基盤ができあがったのが、この白亜紀中頃とされていることから、現在の生態系の成立過程解明への貢献も期待されている。

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 ■クローン病など治療薬に有望

 ≪東京理科大学≫

 生命医科学研究所の研究グループは、インターロイキン17F(IL-17F)を欠損させたマウスが、人の潰瘍性大腸炎によく似た大腸炎を化学物質誘導時に軽症になることを発見した。そこで、IL-17Fの中和抗体を投与したところ、大腸炎の発症を抑制できることを見出した。この結果は、抗IL-17F抗体が潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として有望であることを世界で初めて示した。クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は発症原因が不明であり、近年わが国においても患者数が非常に増加していることから、これらの疾患に対する予防法や治療法の開発が強く求められていた。

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 ■東京で来月[世界を変えた書物]展

 ≪金沢工業大学≫

 コペルニクスやガリレイ、ニュートン、アインシュタイン、ダーウィンなど世界を一変させた発見や科学技術に関する初版本約130冊を展示する[世界を変えた書物]展を、9月8日から24日まで東京都台東区の上野の森美術館で開催する。展示空間は、同大の建築を学ぶ学生が担当したのも見どころだ。

 同大ライブラリーセンターは、西暦1445年頃とされるグーテンベルクによる活版印刷術発明後に出版された科学技術に関する初版本を2000点以上蒐集・所蔵し、年数回キャンパス内で公開している。今回の展示会は、この世界的なコレクションの一端を、中高校生も含め一般に広く公開するために企画した。関東地区での開催は初めて。入場料は無料。

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 ■HITスクエア合同研究部会を開催

 ≪広島工業大学≫

 4月に発足した地域連携技術研究協力会(HITスクエア)の合同研究部会を開催した。活動を本格化させるキックオフミーティングの位置付けで、各部会の共同研究の可能性などを確認し合った。

 HITスクエアは、大学の知的財産である専門知識や技術を企業や行政のニーズに役立て、産官学が連携して地域に貢献する狙い。広島県内外の企業や行政、研究機関など会員数は法人・個人合わせて100を超えている。

 合同研究部会には会員や同大教員ら約120人が参加。冒頭、会長を務める鶴衛学長が「複雑化、多様化が急速に進む今日、研究の連携が求められており、各部会の活動に期待しています」とあいさつ。その後、電気・電子、機械、建築、情報システム、環境・土木、食品・生体の6部会の部会長らが研究概要を紹介した。

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 ◆プログラミング教育

 ■大阪・守口市で小中学校教員30人対象

 ≪大阪電気通信大学≫

 大阪電気通信大学高等学校のパソコン演習室で「夏季守口市教職カレッジ」を開催した。これは、同大と高等学校が地域を支援していくことを目的に、大阪府守口市の小中学校教員30人を対象とした「プログラミング教育」研修で、講師は同大工学部電子機械工学科の兼宗進教授が担当し、高等学校の教員がアシスタントを務めた。はじめに、兼宗教授の開発した教育用プログラミング言語「ドリトル」を解説した後、参加者はドリトルを実際に使い、入門編として画面で星などの図形を描いた。また、コンピューターを使わない“アンプラグド”の講習も実施し、パソコンがない環境でも利用ができるような教育内容に関する情報教育研修を行った。

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 ■埼玉・深谷の小学6年生30人に指導

 ≪埼玉工業大学≫

 埼玉県のプログラミング教育推進事業に選定された8校のモデル校のうち、地元の深谷市立榛沢小学校で6年生約30人を対象に、スクラッチプログラミングの指導を夏休み期間の7月に実施した。

 教員や学生・卒業生計4人のチームが、夏休みのプール後の時間に毎日1時間ずつ計6日間指導した。子供たちはプログラミング制御基板を使い、LED(発光ダイオード)の点滅、ブザーの利用、モーターの制御などに取り組んだ。サーボモーターを組み込んでヘビや恐竜などオリジナルの動物を動かすことにも挑戦した。

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【ガイド】

 工学院大学    E-mail:gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp

 芝浦工業大学   E-mail:koho@ow.shibaura-it.ac.jp

 千葉工業大学   E-mail:cit@it-chiba.ac.jp

 東京電機大学   E-mail:keiei@jim.dendai.ac.jp

 東京理科大学   E-mail:koho@admin.tus.ac.jp

 東京都市大学   E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp

 大阪工業大学   E-mail:kikakuka@ofc.oit.ac.jp

 大阪電気通信大学 E-mail:kouhou@mc2.osakac.ac.jp

 金沢工業大学   E-mail:koho@kanazawa-it.ac.jp

 豊田工業大学   E-mail:s-koho@toyota-ti.ac.jp

 広島工業大学   E-mail:kouhou@it-hiroshima.ac.jp

 愛知工業大学   E-mail:d-koho@aitech.ac.jp

 埼玉工業大学   E-mail:kikaku@sit.ac.jp