労働分配率、43年ぶり低水準 17年度66.2% 人件費抑制鮮明 (1/2ページ)

 財務省が発表した2017年度の法人企業統計では、企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」の下落が続いた。17年度は66.2%でバブル期にも及ばず、43年ぶりの低さ。蓄えを指す「内部留保」や業績が高水準でも、利益をため込む企業の姿勢に変化は見られない。政府の賃上げ要請も響かず、デフレ脱却の鍵を握る個人消費の活性化がおぼつかない構図を表している。

 労働分配率は企業が原材料を仕入れ、より高値で売ることなどで生じる「付加価値」から、賃金や福利厚生費に充てた割合を示す。金融・保険業を除く統計では、リーマン・ショックの起きた08年度に近年のピークの74.7%に達した後、ほぼ一貫して下落。1974年度(65.1%)以来の低水準だった。

 企業は通常、賃金体系の激変を避けるため、労働分配率は好景気の時に下がり、不況時ほど上がりやすい。分析には物価動向や賃金額そのものを考慮する必要もある。だが、バブル期すら下回ることに対し、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「企業にとって賃金を上げる余地が十分にあることを示す」と指摘。経営側の人件費抑制姿勢に加え「労働者側もデフレマインドが根強く、かつてほど賃上げを要求しないことが原因だ」と話す。

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