タイ、大洪水の悪夢再びか ダムの水位急上昇、貯水率100%超えも間近 (2/3ページ)

川の水があふれて市街地が冠水したペチャブリー県の交差点=8月23日(ペチャブリー警察提供)
川の水があふれて市街地が冠水したペチャブリー県の交差点=8月23日(ペチャブリー警察提供)【拡大】

  • 普段は美しい自然で知られるワチラロンコンダム湖(カンチャナブリー県)=昨年12月、小堀晋一撮影

 今年の雨期は5月下旬に始まった。この時期でこれだけ水位が高いのは、工業用地や住宅地、農地など600万ヘクタール以上が浸水し、500人近くが死亡した11年以来のことだ。当時は、50年に一度の大洪水とされ、バンコク近郊の7つの主要な工業団地も最大で5メートルほど冠水し、自動車や電気など多くの日系ほか外国企業の工場群が水に浸かって操業を停止した。被害総額は約1600億バーツ(約5500億円)と試算された。

 バンコクから南西へ約100キロに位置するペチャブリー県では、8月5日にケーンクラジャーンダムが満水となり、あふれた水が下流のペチャブリー川に流れ込んだ。川の水位は約4メートル上昇し、住宅街も浸水。主要道の交差点では数十センチの冠水となり、マレー半島を縦断するトラック物流などに影響が出始めている。ただ、地形から被害は限定的で他県に水が及ぶ心配は今のところない。

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 満水が近いワチラロンコンダムでも、仮に水があふれ下流のクウェー川などが氾濫したとしても、直接的な洪水被害を受けるのはダムのあるカンチャンブリー県のほか、ラチャブリー、サムットソンクラーム両県といった西方の一部の県に限られ、バンコクの北郊や東郊に多い工業団地が水に浸かる可能性は少ない。周辺には水産加工関連の日系企業など外国企業がわずかにあるだけだ。

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