日米交渉 多国間自由貿易体制に逆風 車輸入制限回避へ次善策 (2/2ページ)


【拡大】

  • 輸出を待つ自動車=横浜市鶴見区

 ただ、米国の保護主義的な姿勢に対抗するため、日本が重視する多国間の自由貿易に対する関心は高まっていた。実際、米国を除く11カ国のTPP11は来年初めの発効を目指し、参加各国で国内手続きが進む。さらに、タイなど複数の国が新加盟に前向きだ。しかし、TPP11を主導する日本が米国との2国間交渉に乗り出すことで、「発効に向けた機運がしぼむ」(政府関係者)恐れがある。

 安倍首相は会見で、「(自由貿易体制の)時計の針を逆戻りさせてはならない」と述べ、米国をTPPという多国間の枠組みに引き戻したいとの思いをにじませた。

 だが、経済規模で世界1位の米国と3位の日本がTAGを締結し、農産品などの関税がTPP並みに引き下げられれば、米国にとってはTPP復帰の意義が薄れる。トランプ大統領は25日、ニューヨークの国連総会で演説し、「グローバリズムの思想を拒絶し、愛国主義に基づき行動する」と表明した。多国間の自由貿易体制は試練にさらされている。(大柳聡庸)

【用語解説】物品貿易協定(TAG)

 物品の輸入時にかかる関税の引き下げ、撤廃を定める国家間の約束で「Trade Agreement on Goods」の略。工業製品や農林水産品などを対象とする。日本政府は、知的財産などのサービス分野や投資のルールを含む自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)とは違うと説明した。日米でTAG交渉を始める際、他の通商協定交渉と同様に米国は議会承認が必要となる。(共同)