
東証1部に上場し、セレモニーで鐘を鳴らすワールドの上山健二社長=28日午後、東京・日本橋兜町の東京証券取引所【拡大】
2005年に経営陣による自社買収(MBO)で上場を廃止してから13年。東京証券取引所第1部に再上場したアパレル大手のワールドの初値は、売り出し価格を5%も下回る2755円にとどまった。投資家の厳しい視線にさらされる中、今後は初値で示された市場の“下馬評”を跳ね返せるかが問われる。
東証によると、MBOで上場廃止となった企業は01~17年で135社で、このうち13社が再上場を果たした。MBOは株主の短期的な意向に左右されない経営で企業価値の向上が目指せる利点があり、業界関係者は「オーナー企業が事業の自由度を高める目的で実施するケースなどが多い」と分析する。
ただ、一度は市場から“退場”した企業の再上場に投資家の視線は冷ややかだ。初値は14年のすかいらーくホールディングス(HD、当時すかいらーく)こそ売り出し価格と同額だったが、昨年のスシローグローバルHDや6日のナルミヤ・インターナショナルはワールド同様、売り出し価格を下回った。
低評価の背景には、再上場後の企業価値向上に対する投資家の疑念がある。MBOは株式を買い取る企業の資金供給源が投資ファンドであるケースも少なくないが、その場合に「ファンドが事業拡大より手仕舞いを目的に再上場することが往々にしてある」(楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジスト)とされている。