
イラク南部バスラ州の製油所(イラク国営南部石油会社提供・共同)【拡大】
イラク有数の巨大油田地帯を抱える南部バスラ州で、日本の政府開発援助(ODA)による製油所のプラント新設事業が年内に本格的に始動し、円借款の総額が3000億円を超える見通しになることが分かった。イラク国営南部石油会社の幹部が共同通信の取材に答えた。
事業は2012年に両国政府間で合意したが、過激派組織「イスラム国」(IS)の伸長などで停滞していた。日本は石油製品をつくる製油事業を支援し、イラクの復興を支える考え。
同石油会社のフサーム・ウェリ局長は、12月にも入札を実施する準備が整ったとし「19年の着工を見込んでいる」と述べた。
イラクは17年末にIS掃討作戦完了を宣言。しかし、北部にあった最大の製油所はISが破壊し、他の製油所も老朽化が進む。世界有数の産油国でありながら、ガソリンなど石油製品を輸入する事態が続いている。
事業の合意は、イラク駐留米軍の撤退完了の翌年。日本は既に約420億円の円借款を供与している。
ウェリ氏は今年9月下旬、事業の入札に参加予定の複数の日本企業を視察するため来日。近く追加分が日本から供与されることになったとし「最終的な円借款の合計は3000億円を超える」と明らかにした。
日本政府は、イラクに対し16年度末までに累計で約6890億円の円借款を承認済みで、今回の新設事業分を加えると1兆円を超える見込み。ODAはISの勢力伸長で事実上停止に追い込まれたり、計画変更を余儀なくされたりしてきた。
イラクでは今年5月、IS掃討宣言後で初の総選挙が実施され、新政権樹立に向けた動きが続いている。ウェリ氏は「ガソリンの自給率向上に直結する今回のプロジェクトは期待が非常に大きい。日本による復興支援に感謝している」と語った。