水星探査機「みお」打ち上げ成功 7年の旅路、謎の解明に挑む

水星探査機「みお」を搭載し打ち上げられるアリアン5ロケット=日本時間20日午前10時45分、フランス領ギアナ(アリアンスペース社提供)
水星探査機「みお」を搭載し打ち上げられるアリアン5ロケット=日本時間20日午前10時45分、フランス領ギアナ(アリアンスペース社提供)【拡大】

  • 上昇するアリアン5ロケット=19日、南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地(共同)
  • 水星探査機を載せて打ち上がるアリアン5ロケット=19日、南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地(共同)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水星探査機「みお」が日本時間20日午前10時45分過ぎ、南米の仏領ギアナから欧州の大型ロケット「アリアン5」で打ち上げられた。約30分後に予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。

 水星は太陽に最も近い惑星で謎が多く、日本の探査機は初めて。同時に打ち上げた欧州の探査機に運ばれる形で総延長約88億キロを7年かけて航行し、2025年12月に水星に到着。上空の楕円(だえん)軌道を周回し1~2年、観測を行う。

 水星の探査は機体を減速させるための軌道制御や、太陽の高熱から守る対策で高度な技術が必要で、今回が世界で3回目。他の惑星の引力を減速に利用するため遠回りの長旅になる。

 日本の惑星探査機は、火星への軌道投入に失敗した「のぞみ」、金星を観測中の「あかつき」に続く打ち上げとなった。

 探査の最大の目的は、水星が磁石の性質を持つ仕組みの解明だ。地球では高温で溶けた鉄が内部で対流して磁力が生じているが、水星でのメカニズムを探るため、磁力を観測して内部の構造を調べる。ナトリウムを主成分とする希薄な大気が存在する理由も探る。

 太陽以外の恒星では、すぐ近くに木星に似た巨大な惑星があるが、太陽の近くには例外的に最も小さい惑星の水星がある。欧州と共同でこの原因も調べ、水星の成り立ちに迫る。

 打ち上げは探査計画を主導した欧州のロケット基地があるギアナで行われた。

 みおは直径1・8メートル、高さ2・4メートルの八角柱形で重さは255キロ。開発費は156億円。船が航行する水路や航跡を意味する「澪(みお)」にちなんで命名された。