【ユーロ経済学】対策提案、加盟国で温度差 資金洗浄疑惑に揺れるEU (1/3ページ)

辞任を表明するデンマークのダンスケ銀行のボルゲンCEO=9月19日、コペンハーゲン(AP)
辞任を表明するデンマークのダンスケ銀行のボルゲンCEO=9月19日、コペンハーゲン(AP)【拡大】

 欧州連合(EU)が加盟国の金融機関を通じたマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑に揺れている。今年に入って北朝鮮やロシアなどに絡む疑惑が相次ぎ発覚したためだ。不正資金の隠蔽(いんぺい)や組織犯罪への資金提供にも使われかねない資金洗浄への対処は国際的な重要な課題。EUは信頼に関わるとして対策に乗り出すが、有効策を打てるかは見通せない。

 GDPの10倍規模

 「法的には私個人に責任はないとはいえ、最終的な責任を引き受ける。われわれは組織として失敗したのだから」

 9月19日、こう語って辞任を表明したのは、デンマークの最大手ダンスケ銀行のトーマス・ボルゲン最高経営責任者(CEO)だった。同銀はこの日、エストニア支店を舞台に浮上した資金洗浄疑惑の調査報告書を発表。ボルゲン氏の辞任表明はこれに合わせた引責だ。

 報告書によると、2007~15年の間、エストニア支店を通じて行われた国際送金は「2000億ユーロ(約26兆円)」で、「このうち相当部分が(不正を)疑われる」と指摘した。調査は同国に居住実態のない「非居住者」1万5000人の口座を対象とし、6200人について不正が「疑われる」とも結論づけた。資金の出所はロシアとエストニア国内が各23%で最大を占めた。

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