
世耕弘成経済産業相【拡大】
日本と欧州連合(EU)が22日に初めてハイレベル産業・貿易・経済対話を開いたのは、保護主義的な政策を強めるトランプ米政権と、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」による覇権主義的な動きを結束して牽制(けんせい)するためだ。日EUは連携して自由で公正なルールに基づいた国際協調体制を構築したい考えだ。
「多国間主義が挑戦を受けている」。EU側から出席した欧州委員会のカタイネン副委員長は会見でこう指摘した。世耕弘成経済産業相も「自由で開かれた経済システムが深刻な状況にある」と危機感を示した。
◇
日本と欧州連合(EU)は22日、「日EUハイレベル産業・貿易・経済対話」の初会合を東京都内で開催した。自由貿易を推進するため、日EUの経済連携協定(EPA)の双方の手続きが年内に終了するよう努力することで一致した。また米国の保護主義的な政策への対応などを協議したほか、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗を視野に第3国での投資協力を進めることで合意した。
両者の念頭にあるのは強硬姿勢を強めるトランプ米政権だ。
米国が主導した北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では、カナダとメキシコに自動車の対米輸出の数量規制まで飲ませた。日本とEUも来年、米国とそれぞれ関税引き下げに向けた通商交渉に入る予定だ。
交渉の場で米国が数量規制を要求する懸念はあるが、日EUは「数量規制は絶対に認めないと互いに確認している」(経産省幹部)という。日EUの経済連携協定(EPA)を来年初めにも発効させるなどし、米国に対抗する。
一方、日EUが22日、アフリカなど第3国での投資協力で合意したのは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を意識してのものだ。
インフラ整備のため中国からの融資を受け入れた一部の国では対外債務が膨張。潤っているのは事業を担う中国企業だけという批判もある。日EUはこうした問題に懸念を抱いており、両者が主導して公正な投資ルールの浸透を狙う。
また進出企業に技術移転を強要するなど中国の不公正貿易を阻止するためのルール作りも、世界貿易機関(WTO)改革を通じ進めることで一致した。(大柳聡庸)