「社会信用システム」は、いまだ全貌は明らかにされていない。しかし、それは、電子商取引の最大手であるアリババ・グループ・ホールディングや、ソーシャルメディア大手のテンセント・クレジット・ブリューといった中国の民間企業が、かねて取り組んできた「与信管理サービス」に関わる技術や知見を取り込む公算が高い。
というのも、中国人民銀行は、2015年にアリババ・グループ傘下の芝麻信用など、民間企業8社に信用調査機関としてのパイロット展開をいったん許可したのだが、2018年に信用調査機関としての許可書を正式に交付したのは、新設された百行征信用(略称・信聯)だけだったからだ。
中国政府の直接的な指導下にある業界団体が筆頭株主に
この百行征信用は、業界団体である中国インターネット金融協会が36%を出資し、パイロット展開を許可された民間企業8社がそれぞれ8%ずつ出資して設立された、企業横断的かつ全国統一的な信用調査機関だ。
中国政府の直接的な指導下にある業界団体が筆頭株主になったことから、信用調査機関としての主導権が当局にあることを、改めて内外に明示した形だ。中国の内閣にあたる国務院が通知した「社会信用システムの概要」でも、「信用情報の統一的な公開と共有を実現する」(国務院 2014)と明記されているので、上述の民間企業8社が保有する顧客データベースや予測アルゴリズムは、百行征信用を経由して、当局主導の社会信用システムに接続される可能性は非常に高いと言われているのだ。
そのため、「社会信用システム」の基本的な仕組みは、芝麻信用などの民間企業が展開する「与信管理サービス」と、基本的には同様のものになると予想されている。民間企業が展開する「与信管理サービス」の仕組みがどのようなものか。ここでは、中国最大手のアリババ・グループ傘下にある芝麻信用が展開するサービスを事例として取り上げよう。
個人の信用度を「350点から950点」で得点化する
芝麻信用は、第三者決済と電子マネー「支付宝(アリペイ)」の運営が主たる業務で、「与信管理サービス」はそうした業務に付随するサービスの一つだ。芝麻信用では、「与信管理サービス」を“信用生活”と呼ぶ。