道路橋点検、赤外線で効率化 国交省、財政難の自治体に普及図る

赤外線を使った橋の点検のイメージ
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 国土交通省は来年度から、国や自治体が管理する道路橋の老朽化点検を効率化するため、赤外線を使ってコンクリートのひび割れなどの破損を確認する手法を導入する。財政難や人手不足が深刻な自治体への普及も図る。精度の高い新技術を使うことで、従来の目視による点検より2割程度の費用削減が見込めると試算。技術者の目視での確認を定めている道路法に基づく点検要領を年度内に改正する。

 2012年の中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故を受け、国や自治体は5年に1度、橋やトンネルの点検が義務付けられた。18年度で1巡目が終わる予定だが、小規模市町村を中心とした一部自治体では、財政難や人手不足を理由に2巡目以降の点検に支障が出る懸念があるという。

 赤外線による点検は、コンクリートに損傷があると、正常な部分と比べて温度にむらが生じることを利用。地上から橋桁の底部や橋脚を赤外線カメラで撮影し、コンピューターソフトを使って判定する。異常が疑われれば目視やハンマーを使って詳しく調べる。

 高速道路では既に導入されている。点検時間を大幅に短縮できるほか、足場の設置が不要になり、橋の下に道路がある場合、交通規制をしなくていいといったメリットもある。

 トンネルの内壁は温度変化が小さく、赤外線は活用できないという。

 全国の橋約72万カ所のうち国管理は約4万、自治体管理は66万。国交省によると、14~17年度の点検の累計で、4段階評価のうち最も深刻な「緊急対策が必要」と判定されたのは、543カ所に上った。