食料雑貨の買い物代行サービスを展開するシンガポールのスタートアップ企業、オネストビーが、直営の実店舗を立ち上げた。同社は、スマートフォンの専用アプリで注文を受け、提携する店舗やレストランの商品を宅配する代行ビジネスで成長し、日本にも進出した。在庫や店舗といった資産を持たない経営スタイルが強みとみられてきたが、ネット通販の台頭でシンガポールでも衰退傾向にあるスーパーマーケット事業に進出した。店を訪ねた。
スマホで入店
次世代小売り店舗「habitat(ハビタット)」は、シンガポール南部パシルパンジャンの商業地区の隣接地に、今月18日、オープンした。営業は午前8時~午後10時。入り口は、駅の自動改札口のような構造で、スマホのQRコードをかざして入店する。6万平方フィートの店内の天井にはレールが敷かれ、スマホで注文を受けた店内商品をスタッフが詰めた袋が配送拠点に搬送される。
店内に並ぶ商品は、ハビタットが扱う生鮮食品や加工食品など約2万点の一部。同社のバイヤーが世界の1万2000の提携先から仕入れている。一般商品の値段は他のスーパーとほぼ同じで、高級品など選択肢が多い。新潟県産の「雪室熟成和牛」など、シンガポールでは同社だけが扱う食材もある。日用品など店舗に並んでいない商品は、アプリ上で注文し併設倉庫から取り寄せる。
食品の陳列棚は低く、どこからも店舗全体が見渡せる。目立つのは店内15カ所に点在するカフェや総菜売り場。購入商品をその場で食べたり、食べて気に入ったサラダなどの材料をその場で購入したりできる。鮮魚売り場の仲買人は、近海で取れた魚を生産者から直接買い付けて並べ、おすすめの調理方法を教えてくれた。購入した魚を店舗内の店で料理してもらい、食べたり持ち帰りしたりもできる。