海賊版サイト対策 接続遮断の法制化 有識者会議物別れ

 内閣府は30日、漫画などを無料で読ませる海賊版サイト対策を検討した有識者会議の上部会合を開いた。会議の共同座長を務めた慶応大の村井純教授と中村伊知哉教授が出席し、強制的に閲覧をやめる「接続遮断(ブロッキング)」の法制化をめぐる意見対立で物別れに終わった経過を報告した。

 報告では「座長メモ」として、出版や通信業界、関係省庁が連携して対策に取り組むことを「心より期待する」と指摘した。接続遮断の法整備については「意見がまとまらなかった」と記述した。

 接続遮断はインターネット接続事業者が全ての利用者の通信先をチェックし、特定のサイトに接続できないようにする措置。会議で出版業界の委員が早期導入を求めた一方、憲法が保障する「通信の秘密」を侵害するとの懸念から通信業界や法学者が慎重姿勢を崩さなかった。

 村井氏らは賛否両論を並べた形の中間報告を目指したが、「両論併記でも政府が法改正を進める」との反発が強く、意見集約を断念していた。