政府は6日、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の承認案を閣議決定した。今国会での承認を目指す。日EUとも年内に議会手続きが終われば来年2月1日に発効する。発効すれば双方の関税が幅広く引き下げられ、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。
EU側も年内の手続き完了を目指しており、双方が手続きを終えた翌々月の1日に発効する決まりだ。日欧は保護主義的な姿勢を強めるトランプ米政権に連携して対抗する。
6日の閣議後の記者会見で世耕弘成経済産業相は「日欧EPAは成長戦略の重要な柱だ」と強調した。政府の試算によれば、貿易や投資が活発になり、日本の実質GDPを約5.2兆円、雇用を約29万人押し上げるとみられる。
日欧EPAが発効すれば、消費者は欧州産の食料品を安く買えるようになる。例えばワインは発効と同時に輸入関税が撤廃され、750ミリリットル入りのボトルで最大約94円安くなる。
日本の輸出品の関税も引き下げられ、企業活動にも追い風になる。EUが自動車にかける関税は10%だが、8年目にゼロになる。日本酒にかかっている関税は即時撤廃されるほか、焼酎輸出の妨げになっていた容量の規制はなくなる。
また、双方が地域の食品ブランドを保護する「地理的表示(GI)」の取り組みを強化。日本側は「夕張メロン」(北海道)などが保護の対象となった。
日本はEUとのEPA以外でも、自由貿易圏の拡大に取り組んでいる。米国を除いた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は12月30日に発効。中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も年内の実質妥結を目指す。
来年1月以降、日米は2国間の関税交渉に入る。日本は農産品などの関税引き下げについて、過去に合意した経済連携協定で認めた水準よりも譲歩はしないと主張していることも、TPPや日欧EPAの発効を急いだ背景にある。