2019年度当初予算の編成作業が年末に向け本格化してきた。来年10月には消費税率10%への引き上げが控えており、政府は景気の腰折れを防ぐための経済対策などに万全を期す構えだ。ほかにも高齢化に伴う社会保障費の増加など歳出圧力は強まっており、過去最大となった18年度一般会計予算の97兆7128億円を上回り、当初予算として初めて100兆円を超える見通しとなっている。
便乗したような案も
19年度予算の最大の焦点は消費税増税対策で、別枠で編成する。増税前の駆け込み需要と、その反動による消費の落ち込みをできるだけ小さくするため、「あらゆる施策を総動員する」(安倍晋三首相)方針だ。14年度に8%に引き上げた際は5兆5000億円規模の対策を行ったが、それでも景気の落ち込みは防げなかった反省がある。
対策として有力視されているのが、中小店舗でクレジットカードなどで買い物をした場合、商品価格(税別)の2%をポイントで還元するという仕組みや、高齢者や低所得者を対象にプレミアム付き商品券を発行するといった施策だ。車の購入に対する補助金が盛り込まれる可能性もある。
近年、大規模な自然災害が多発していることから、防災や減災などの国土強靱(きょうじん)化対策も消費税対策の一環として行う予定で、公共工事の契約時期や工期を増税後に合わせることで景気の下支えを図る。
ただ、自民党の部会などでは消費税対策に便乗したような案も出てきている。例えば厚生労働部会では「感染症防止対策の強化」として新型インフルエンザワクチンの備蓄などが提案されている。消費や投資が活発に行われるには「日々の暮らしに安心感が重要」との観点からだ。