
茂木敏充経済再生担当相(鴨川一也撮影)【拡大】
政府は平成31年度経済見通しで、実質国内総生産(GDP)成長率を1・3%と見込んだ。消費税増税に伴う経済対策により「内需を中心とした堅調な景気回復が見込まれる」(茂木敏充経済再生担当相)との理由だが、民間シンクタンクの予測は1%未満が多く、「政府の見通しは楽観的」との見方も出ている。
政府の経済見通しでは、個人消費は雇用・所得環境の改善と消費税増税対策の効果で、30年度を上回る伸びを示すと強調。設備投資は人手不足対応で堅調に伸び、公共投資も国土強靱(きょうじん)化の緊急対策などで増えると明るい見通しが並んだ。
一方、主要シンクタンク14社の31年度実質GDP成長率の予測をみると、平均で0・66%にとどまる。最も低い0・3%とした農林中金総合研究所は、先行きを「世界経済・貿易の拡大ペースが鈍化しており、国内景気の起因となる輸出が伸び悩む」と分析。消費に関しても、31年度前半までは人手不足による家計所得の改善や消費税増税前の駆け込み需要で改善傾向を続けるが、後半は反動減が出て「手厚い消費税対策にもかかわらず、全般的に調整色が強まるのは避けられない」と指摘している。
政府の経済見通しは実績を下回ることも多く、20~29年度の10年間では7回も予測以下となっている。内閣府の担当者は「ここ10年ではリーマン・ショックや東日本大震災が起きており、特殊な事案を除けば、おおむね半分くらいは上回っている」と説明する。
31年度の見通し達成に向け一番のリスク要因は米中貿易摩擦などの海外経済だ。茂木氏は18日の記者会見で「リスクに強い経済をつくることが重要であり、人づくり革命や生産性革命で、日本経済の基礎体力ともいうべき潜在成長率を引き上げたい」と語った。(桑原雄尚)