中国で「経済工作会議」が開幕 GDP成長率目標引き下げなど協議か

 【北京=西見由章】中国共産党と中国政府が、2019年の経済政策で基本方針を策定する「中央経済工作会議」が、19日までに北京で始まったもようだ。

 対米貿易戦の影響を最小限に抑え、国内の雇用や金融の安定をいかに図るかが最優先の課題となる。国内総生産(GDP)成長率の政府目標を低めに誘導するとともに、減税やインフラ投資など、積極的な財政出動を確認するもようだ。

 21日にも閉幕し、方針の一部を国営新華社通信を通じて公表する見通し。ただGDP成長率目標などの策定数字は、来年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)まで公表されない。

 13日に開かれた党中央政治局会議は来年の経済政策について、米国の圧力を念頭に「市場化への改革深化を堅持し、高水準の開放を拡大する」ことを確認。さらに「国際環境と国内条件の変化を見極め、危機意識を強めねばならない」との認識を示している。経済工作会議でも、この厳しい見方が共有されるもよう。

 中国人民大学は11月、今年のGDP成長率が前年に比べ0.3ポイント低い6.6%に、来年は6.3%にそれぞれ下がると予想した。

 共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)は来年のGDP成長率目標について、「(現行の)『6.0~6.5%よりも『6.0%』にする方が現実的だ」との北京のエコノミストの見方を伝えている。

 ただ、米国との対立の結果、成長鈍化が長引いて国内景気が悪化すれば、共産党内の反主流派による習近平国家主席(総書記)への突き上げが加速する。さらに株価や不動産価格の下落などを受け、都市住民らが集団で党や政府に反旗を翻す恐れもあり、当局はマクロ経済で象徴的な数字であるGDP成長率を大幅に下げられない事情がある。