国内

TPP発効、5億人の経済圏誕生 日本のGDP年7兆8000億円押し上げ

 11カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が30日、発効した。域内の工業製品や農産品の関税は段階的に引き下げられ、投資や知的財産権保護など高水準のルールを定めた。世界の国内総生産(GDP)の約13%を占め、総人口で約5億人の巨大な自由貿易圏がアジア太平洋地域に誕生する。

 TPPによる日本の関税撤廃率は約95%で他の10カ国は99~100%。輸入関税が引き下げられて家計に恩恵が及び、投資などに関するルールも明確になってビジネスがしやすくなる。政府試算によれば日本のGDPが年7兆8000億円押し上げられ、雇用は約46万人増える見通し。

 TPP交渉をめぐっては、昨年1月に米国が離脱したことで一時は漂流も懸念されたが、日本が主導する形で発効にこぎ着けた。日本は参加国拡大も視野に多国間の枠組みで米国などの保護主義的な動きに対抗する。

 11カ国のうち最初に国内手続きを終えた日本やメキシコなど6カ国が30日に発効し、来年1月14日にベトナムも発効。残り4カ国も国内手続きを終え次第、発効する見通しだ。

                  

【用語解説】TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)

 「Trans-Pacific Partnership」の略称で、アジア太平洋地域をカバーする広範な経済連携協定(EPA)。農産品や工業製品の関税引き下げのほか、知的財産権や投資など幅広いルールも扱っている。12カ国が2016年に署名したが、米国が昨年1月に離脱したため、新しい協定としてまとめ直した。参加国は日本、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11カ国。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus