高論卓説

「出国税」に今さら騒いでも…選挙イヤー 日々、政治に関心の目を

 国際環境旅客税、通称「出国税」の徴収が始まり、周知不足から、国民の反感を買っている。訪日観光客の急増により出入国手続きの厳格化と簡素化を図るための整備費として財源が必要なことは事実である。

 しかし、額の妥当性や徴収方法の周知が徹底しておらず、混乱を来している。また、「観光基盤の拡充・強化」としてのWi-Fiや多言語標記の案内板の整備やトイレの洋式化などもその使途として含まれていることに、新税を創設しなければ財源を確保できなかったのか疑問である。

 この税金は、一昨年12月22日に閣議決定した2018年度税制改正大綱に含まれており、その後、昨年4月に国会で「国際観光旅客税法」として成立しており、今頃気づいても後の祭りということだろう。

 一昨年といえば、10月に衆議院総選挙が行われ、11月1日に第4次安倍晋三内閣が発足した。国民の大勢は与党・自民党を、そして安倍政権を支持した結果である。自民党の選挙公約「政権公約2017」の『1.経済再生』として、「…受益者負担の考えに基づき、高次元で観光施策を実行するために必要となる追加的な観光財源の確保の取り組み、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図ります」とあるので、恐らくこれが「出国税」創設の根拠となる公約であろう。

 これは公約のテーマごとの細目のようなものの中に書かれており、これを熟読して投票行動に出る有権者がどれだけいるのかと思うと、「読んでいない方が悪い」とも言い切れないのは事実だ。しかし、少なくとも、税制改正大綱が出る毎年末には、このような新税の報道はあるはずだ。一昨年も「出国税」として多少の話題にはなっていた。税を創設するときには法律としての国会での議決が必要である。一瞬の興味関心で終わらせずに、常に政治で行われていることに関心を持ち続け、具体的な行動を起こすことも、有権者として、国民としての重要な義務ではないだろうか。

 具体的な行動として何ができるかは、なかなか難しいかもしれない。しかし、ネットで政治家とも直につながる時代である。SNSを通じて政治家にコンタクトを取ってみるなど、方法はあるはずだ。自ら行動をせずに、文句ばかり言っていても、世の中はよくならないし、政治家の、特に与党のし放題になる。政治家のために国民がいるのではなく、国民のために政治家がいるのである。全ての国民の思いを実現することも、全ての国民が納得することも存在しないが、とかく権力を持つと人間は勘違いをして、まともな判断ができなくなることも往々にしてあることだ。そのために、民主制という仕組みがあり、主権者が監視をし、判断をする権限を与えられていることを、国民は日々意識すべきである。

 さて、今年は選挙の年である。4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙と、国民に判断する機会が与えられている。なかなか時間がないかもしれないが、政党の政策集にはぜひ隅々まで目を通してもらいたい。できる限り、候補者の生の演説も聴いてもらいたい。それでこそ、自ら責任を持って一票を投じるということになる。

 4月の統一地方選を経ると、選挙権が18歳以上に引き下げられ、国・地方、全ての選挙で18歳以上の選挙権行使が実現することになるそうだ。その価値を、新しい年のスタートに改めて考えてみてはどうだろうか。

【プロフィル】細川珠生

 ほそかわ・たまお ジャーナリスト。元東京都品川区教育委員会教育委員長。テレビ・ラジオ・雑誌でも活躍。千葉工業大理事。1児の母。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。

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