国内製糖、健康志向による需要減で苦境 甘味料にも押され…頼みの綱は訪日客 (2/2ページ)

 さらに根深い問題もある。国内の製糖業を保護する財源である調整金が海外産の砂糖原料の輸入減に伴って減り、輸入砂糖との価格差が大きく開いていることだ。国産はブラジルやインドの海外産に比べコスト競争力が弱く、価格差は約5倍ともいわれている。

 その価格差を埋めるため、国は輸入される砂糖原料に対し調整金を徴収し、それを沖縄のサトウキビ農家や製糖業者などへの補助金に充てている。だが、砂糖以外の加糖調製品など他の輸入甘味原料には調整金は課されないため、国産砂糖は他の輸入甘味料に比べるとさらに価格差が開く。

 しかし、昨年12月末に日本など11カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効したことで、輸入される加糖調製品にも調整金が課されるようになった。これはTPP発効で輸入品の関税率が引き下げられることによる、国内生産者への影響を防ぐことを目的とした対策だ。それでも、業界団体からは「国産を守るにはすべての輸入甘味原料に調整金を課すべきだ」と不満も多い。

 この厳しい状況を打破しようと、農水省が中心となり需要喚起策を活発化させている。「ありが糖運動」と題し、昨年10月には甘い物に関する総合情報発信サイトを開設。業界団体と協力し、訪日客向けに国産砂糖が使われている和菓子などの情報提供を始めた。農水省幹部は「訪日客に和菓子は人気で、お土産用に大量に買う人も多い。今後の輸出の拡大も期待できる」と息巻く。

 ただ、国産砂糖が使われる和菓子は賞味期限が短く、保守的な老舗和菓子店などは輸出には消極的だ。農水省は31年度予算で数十億円を使い、国内のサトウキビ生産設備の自動化などを進め生産性向上を目指すが、先行きは見えない。