TPP「拡大」打ち出して米国と中国を牽制


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  • TPP協定発効記念式典で各国の関係者と談笑する安倍晋三首相(中央右)と茂木敏充経済再生担当相(同左)=19日午後、首相官邸(桐山弘太撮影)

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国が19日、新規加盟の拡大を目指すことで一致したのは、米中による貿易戦争が激化する中で、世界経済の先行きに不透明感が強まっているからだ。広い分野の関税撤廃と高水準のルールを共有する“仲間”を増やすことで、米国の保護主義的な動きや中国の不公正な貿易慣行を牽制(けんせい)する狙いだ。(大柳聡庸)

 現在、新規加盟に最も近いとされるのがタイ。近隣のベトナムに比べ農産品分野などで競争力が低下することに危機感を抱いているからだ。タイの加盟申請は総選挙後になるとみられる。2月末と想定されていた総選挙は延期の公算が大きいが、早ければ今年前半にも新規加盟に向けた交渉が始まる可能性がある。3月に欧州連合(EU)からの脱退を予定する英国も加盟に強い意欲を示す。

 TPPを離脱した米国の産品は関税が下がらず輸出競争力が低下するため、TPPに復帰を促す契機になる可能性がある。閣僚級会合で議長を務めた茂木敏充経済再生担当相は19日の記者会見で、「多くの国・地域の参加を期待している。米国も同様だ」と述べた。

 また、TPPは知的財産権の保護で模倣品などに対する厳格な規律をもうけるなど、高水準のルールを定めており、不公正な貿易慣行を続ける中国に対する抑止効果も期待できる。

 米中の貿易戦争は、中国による知財侵害に対し、米国が追加関税といった保護主義的な動きで対抗したのがきっかけだ。

 安倍晋三首相は会合で「不満が保護主義への誘惑を生み出し、国と国との間に激しい対立を生み出すが、私たちは時計の針を決して逆戻りさせてはならない」と述べ、米中の貿易戦争を念頭に、自由貿易体制の重要性を訴えた。