18年世界直接投資19%減 国連報告、9年ぶり低水準

 国連貿易開発会議(UNCTAD)は21日、2018年の世界各国・地域への外国からの直接投資額は前年比19%減の約1兆1880億ドル(130兆円)だったと推計した報告書を発表した。減少は3年連続。世界金融危機で落ち込んだ09年以来、9年ぶりの低水準となった。

 トランプ米政権が米企業の海外移転防止を目的に行った減税により、先進国への投資額が大きく減ったことが影響した。

 19年はやや回復するものの米中貿易摩擦などの不安定要因を受け低調だと予想した。一方、18年の国境を越えた企業の合併・買収(M&A)案件は19%増の8220億ドルだった。

 報告書によると、先進国への投資額は40%減の4510億ドルで、特に欧州向けは73%も減った。途上国への投資額は3%増の6940億ドルだった。

 米政府は17年末、米企業が海外で稼いだ利益を国内に戻すよう促すため、海外子会社から受け取る配当金への課税を廃止。たまった利益を戻す際に1回だけの課税とした。このため米国への資金回帰が起きた。(共同)