海外情勢

タイ、カンボジア間の国際鉄道が近く開通 物流やアクセス向上に期待 (2/2ページ)

タイ軍部が具体化

 戦後、この地には、中国からベトナム、カンボジア、タイ、マレーシアを経由してシンガポールに至る「インドシナ半島縦貫鉄道」構想が何度も持ち上がる。だが、ベトナム戦争やカンボジア内戦などでことごとく頓挫した。タイとマレーシアが観光目的で国際鉄道を季節的に細々と運行するだけで、長らく構想は棚上げ状態となっていた。

 一気に具体化したのは、タイでクーデターにより軍部が政権を掌握したときだった。タイのプラユット暫定首相はカンボジアのフン・セン首相とトップ会談を2015年末に実現。南部経済回廊建設にも寄与する国際鉄道の運行で合意をした。

 それから3年余り。半世紀以上にわたり放置されたままとなっていたカンボジア国内の鉄道網は再び整備され、地域住民も運行を心待ちにしている。国境駅ポイペトの駅前で屋台の飲食店を営むブンさん(54)もそうした一人。半世紀前の光景をかすかに覚えている。「国際鉄道が完成すれば人の流れも多くなって経済が活性化する。楽しみだわ」と話した。

 タイ側でもすでに準備が進められており、出入国管理を行う国境の駅舎も完成した。戦争をきっかけに誕生し、激しい内戦とともに運行停止を余儀なくされた国際鉄道は間もなく復活する。(在バンコクジャーナリスト・小堀晋一)

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