ただ、爆買いの沈静化で中国人観光客のみにターゲットを絞った対応は効果が薄れており、「ワールドカップに合わせて海外のラグビーファンの消費を促すなら、むしろ英国連邦のアングロサクソン系を重視すべきではないか」との指摘もある。外国人観光客の利便性を重視するならQRにこだわらない対策が必要だ。
国内では続々参入
一方、国内企業は既にQR決済を次世代の主役とみて群雄割拠の状況。クレジットカードや交通系電子マネーと異なり加盟店側の初期費用がほとんどかからないため導入しやすく、急速な普及が見込めるためだ。
ソフトバンクとヤフーが共同出資する「ペイペイ」では、昨年12月に支払額から総額100億円を還元するキャンペーンを実施したことで利用者が急増した。ライン系運営会社は支払価格の2.45%を2021年7月末まで無料にするキャンペーンを開始し、ペイペイやアマゾンジャパンも手数料ゼロを掲げ競合する。NTTドコモや楽天も膨大な顧客基盤を強みに加盟店拡大を急いでいる。
銀行業界も負けてはいない。みずほフィナンシャルグループは今春にも地方銀行60行程度と共同で新たな電子マネーを発行し、QR決済ができるようにする。
こうした流れが生まれたのは、政府が20%程度と国際的に低い日本のキャッシュレス比率を2025年までに40%まで引き上げる目標を掲げ、業界を後押ししているためだ。中国やインドなど新興国企業に主導権を奪われる危機感が背景にあり、18年10月に産学官の協議会が規格統一の方針を発表するなど昨年は「QR決済元年」ともいわれる。