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消費増税時のポイント還元、複雑化懸念 「税抜き」「税込み」混在も

 10月の消費税増税時に実施される、政府のキャッシュレス決済に伴うポイント還元策で、還元するポイントの計算に使う価格に、「税抜き」と「税込み」が混在する可能性が出てきた。ポイントは各決済事業者がもともと持つポイント付与の仕組みを使い還元される予定だが、会社によってシステムが異なっているためだ。既に複数の還元率が存在して分かりにくいとの指摘がある中、実施段階ではさらに複雑化する恐れがある。

 「できるだけ分かりやすい仕組みにしたいが…」。経済産業省の担当者がそう語り頭を悩ますのが決済事業者によって異なる、ポイント付与の仕組みだ。

 ポイント還元策は中小店舗で商品を購入する際、現金を使わずにクレジットカードなどで支払うと、5%がポイントで還元されるという施策で、政府の消費税増税対策の目玉だ。

 もともと、消費税増税分の2%を還元するところから議論が始まったため、税抜き価格に対してポイントを還元することが検討されてきた。しかし、クレジットカード会社の多くが、税込み価格にポイントを付与する仕組みだったことなどから、現在は税込み価格に対して還元する方向で検討を進めている。

 ただ、税抜き価格に対してポイントを付与している会社もある。「ライフカード」は、一部の店舗で決済した場合は税抜き価格にポイントを付与。電子マネーの「nanaco(ナナコ)」も、税抜き価格を使いポイントを計算するシステムだ。仮に政府が税込み価格に対してポイント還元することで一本化した場合、こうした事業者はシステムを改修する必要が生じる。

 一方、政府が税込みと税抜きの両方を認めた場合、決済手段によって2通りの異なるポイントが還元されることになる。例えば税抜き価格1万円の商品の場合、税抜きだと500円、税込みだと550円分のポイントが還元される計算だ。

 ただでさえポイント還元制度は大手企業のフランチャイズチェーン店は2%で、大型店舗はポイントが付かないなど、店舗によって還元率が異なり、国民にとっては分かりにくい仕組み。政府関係者からは「これに軽減税率が加われば、どこで、何を使って、決済するのが一番“お得”になるのか分からなくなる」と複雑化を懸念する声も出始めている。(蕎麦谷里志)

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