19年スルメイカ漁獲枠が過去最低 不漁深刻、資源回復へ31%削減

函館市水産物地方卸売市場で行われたスルメイカの競り=2018年11月、北海道函館市
函館市水産物地方卸売市場で行われたスルメイカの競り=2018年11月、北海道函館市【拡大】

  • スルメイカの漁獲枠と漁獲量

 水産庁は、歴史的な不漁となっているスルメイカの2019年漁期(4月~翌年3月)の漁獲枠を前年より31%少ない6万7000トンとし、過去最低に抑える方針だ。資源が少なくなっているため。ただ、漁獲量はさらに低水準で推移しており漁業者が水揚げ抑制を迫られる可能性は低そうだ。

 漁獲可能量(TAC)と呼ぶ漁獲枠の削減は4年連続。資源を回復するために許容できる漁獲量を計算した。専門家は資源減少の要因として冬の産卵場所である東シナ海の水温低下などを指摘している。日本海での北朝鮮船の違法操業を含む外国船の漁獲増加も影響しているとみられる。

 スルメイカはさまざまなイカの中で最も水揚げ量が多い。漁獲量は00年漁期に約30万1000トンに上ったが、最近は低迷。17年漁期は約5万6000トンに落ち込み、18年4~12月は前年同期に比べ2割程度減少の約3万4000トンとなっている。深刻な不漁で漁港での取引価格は高騰し、17年は1キロ当たり543円と5年前の2.7倍の水準だった。

 水産庁は3月に開く水産政策審議会の分科会で漁獲枠を議論し、正式に決定する。TAC制度はサンマなども対象になっている。