
ニュージーランドの野生動物保護区「ジーランディア」で、外来動物の剥製を前に駆除活動について説明する「プレデターフリー・ウェリントン」のウィルコックス代表(右)=2018年10月16日(共同)【拡大】
ところが1769年に英国人探検家のクックがニュージーランドに到達後、欧州からの入植者が狩猟目的でウサギを持ち込んだ。船から陸に上がったネズミに加え、イタチやポッサムも入り、鳥類やその卵を食べたり餌を奪ったりするようになった。その結果、固有の鳥の多くが絶滅、もしくはその危機にひんしてしまった。
次世代へ引き継ぐ
このためニュージーランド政府は2016年、外来種の根絶計画を表明。全土で取り組みを開始し、年間約7000万ニュージーランドドル(約53億1900万円)を投じている。
これまでにはウェリントンから南に1000キロの絶海の孤島、アンティポディーズ島で、上空から大量の殺鼠剤を散布してネズミ約20万匹の駆除に成功したと自然保護省が発表。ウサギを感染症で死なせるウイルスをまき始めた地域もある。
プレデターフリー・ウェリントンも、ジーランディアを含め首都周辺で、イタチやポッサム用のわなの設置やネズミの巣になる地下の排水溝のパトロールを通して、これまでに数万匹を駆除した。
そのかいあってか、ジーランディアでは固有種の鳥が増え、周辺地域で見掛ける機会も増えたという。
ウィルコックス氏は「人間はあまりにあっという間に生物の多様性を破壊してしまった。次の世代にきちんとした環境を引き継ぐために、今こそ潮目を変えるとき」と表情を引き締めた。(ウェリントン 共同)