
カフェ「コプトゥル」でコーヒーをいれるプトリさん=2018年12月、ジャカルタ(共同)【拡大】
インドネシアの聴覚障害者の若者3人が開業したカフェが評判を呼んでいる。大学卒業後、就職活動をするも200社に落ちた悔しさをばねに創業。健常者に手話を教える交流の場となり「聴覚障害者雇用の受け皿にしたい」と夢は膨らむ。
ジャカルタ南部にあるカフェ「コプトゥル」。店内に入ると創業者の一人、アディカさんが笑顔で迎えてくれた。
チョコレートやアボカドなどさまざまな風味のコーヒーが並ぶ。カップには、アルファベットをインドネシア語の手話でどう表現するかのイラストが描かれている。「店員に言えば誰でも教えてもらえ、友達もできます」
昨年5月、ジャカルタ近郊の西ジャワ州に初出店。すぐに話題を呼んで支援者が現れ、同10月にはジャカルタで2店目も開店。店員計5人は全員聴覚障害者を雇った。
大学でデザインやコミュニケーションを学んだアディカさんは2016年に卒業後、約200社に応募したが全て不採用となった。「悲しくて悔しくて落ち込んだ。この200社に聴覚障害者でもちゃんと仕事ができることを見せたい」と語る。
同じ学科で学び、同様に就職に失敗し悩んでいたプトリさんに共同事業を持ちかけ、アディカさんがコーヒー好きだったことからカフェを起業。2人の幼なじみのエルウィンさんも加わった。
年5%前後の経済成長を続けるインドネシアは昨年10月、ジャカルタでアジアパラ大会を初開催したが、歩道整備や手すりの設置など障害者のための社会基盤整備はまだまだ不十分。カフェは、コーヒー事業を通して聴覚障害者の仲間に活力を与える目標を掲げる。プトリさんは「将来は国外にも出店したい」と展望を語った。(ジャカルタ 共同)