国は2030年度の電源構成で原発比率を20~22%(17年度は3%)にすることを目指す。達成には30基程度が動く必要があるが、再稼働のペースの遅さに加え、電力各社による廃炉の動きもある。
廃炉が決定済み、または検討中の原発は24基(福島原発事故前の決定分も含む)と、再稼働した9基を大きく上回る。原発比率20~22%の達成に懐疑的な見方は少なくなく、経済同友会の小林喜光代表幹事は2月の会見で「あまり現実的でない」とした。
国のエネルギー基本計画では2050年に向けた対応でも、原発は「脱炭素化の選択肢」と明記。他方、原発への世論に配慮したのか、建て替えや新増設の必要性には触れていない。
「(現行の政策メニューで)本当に十分なのかと問いたい。国はもっと踏み込んで政策を進めていくべきだ」。今月5日、自民党の総合エネルギー戦略調査会の会合で原子力政策について発言したある議員はもどかしさをあらわにした。
国が成長戦略の目玉に掲げてきた原発輸出政策も、日立製作所が1月に英国での原発新設計画の凍結を決めるなど、厳しい局面を迎えている。日本がこれまで培ってきた原発分野の人材や技術、産業基盤の維持が危ぶまれている。
閉塞状況打開できず
東京理科大大学院の橘川武郎教授は「最大の問題点は、国が原発の建て替えに言及しないことだ。原発を使い続けるのなら、危険性の最小化が大前提になる。そのために必要な建て替えに触れないところに、国の逃げ腰や先送り姿勢が端的に表れている」と指摘。原発事業を営む電力会社についても「国の支援をまずあてにするという発想では、原発を取り巻く閉塞(へいそく)状況は打開できない」と話した。(森田晶宏)