
習近平国家主席の思想などを学ぶスマートフォンアプリ「学習強国」(共同)【拡大】
中国共産党が習近平総書記(国家主席)への忠誠心を試すスマートフォンアプリ「学習強国」を開発し、党員に利用を促している。習指導部は党中央の方針に批判的な声に神経をとがらせ、思想を引き締める動きを強めている。背景には求心力低下への危機感もありそうだ。
全国人民代表大会(全人代=国会)での習氏の動静も「学習」の対象となった。中国メディアによると、国内の政府機関や銀行などでアプリを通じて全人代を学ぶ活動が展開されたという。
「学習強国」は党中央宣伝部が開発し、1月に公開された。「学習」は「習氏に学ぶ」との意味にもとれる。習氏の演説や動静に関する報道などの閲覧時間が長いほど得点が加算され、習氏が演説で引用した詩などに関するテストもある。
黄坤明・党中央宣伝部長は、アプリを通じて「(習氏の指導思想である)『習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想』の学習や宣伝を推進する」と強調した。
党関係者によると、党員にアプリの利用を義務付ける地方政府や国有企業もある。点数が低いと上司らに通報されるという。短文投稿サイト「微博(ウェイボー)」には「時間の無駄だ」と不満を訴える書き込みがあり、短時間で得点を稼ぐ攻略法も出回っている。
習指導部は全人代で「党中央と思想を一致」させる重要性を繰り返し訴えた。北京の大学に勤める党関係者は「景気や対米関係の悪化を招いた政策への批判が強まっており、習氏は疑心暗鬼になっているのではないか」と指摘した。(北京 共同)