ミャンマー 道端のかめ、庶民の喉潤す 伝統的行為も不衛生の声多数

ミャンマーのヤンゴンのヤンキン市場近くで、かめの水を飲むフライン・ミューさん=2018年12月(共同)
ミャンマーのヤンゴンのヤンキン市場近くで、かめの水を飲むフライン・ミューさん=2018年12月(共同)【拡大】

 ミャンマーでは道端のあちこちに水を入れた素焼きのかめが置かれている。誰にでも水を施すことは仏教の功徳の一つで、暑い季節が続く国ならではの風習でもある。ペットボトル入りの飲料水も普及しつつあるが、かめの水は今でも、庶民にとってのどを潤す命の水だ。

 「水を飲みたくなると、いつもここでいただいている」。ミャンマー最大都市ヤンゴンのヤンキン市場で青果店を営むフライン・ミューさんが、かめからコップにくんだ水を、おいしそうにごくりと飲み干した。

 日差しは肌を焦がすように強烈だが、素焼きのかめが天然の冷蔵庫の役目を果たし、すくった水はひんやりしている。汗だくになって屋外で働くフライン・ミューさんにとって、ここはなくてはならない水飲み場だ。

 市場近くの自宅前に水がめを置いているキン・ミャさんは「毎日かめを洗い、水を入れ替えている」と話す。娘の元大学講師、エイ・エイ・チョーさんは「毎日欠かすことのできない宗教的な行為の一つだ」という。

 道路脇に置かれた水がめは、歩いて通学する子供たちの水飲み場にもなる。ペットボトルに水を入れ、皆で回し飲みしながら下校する姿も。

 しかし以前から、かめの水は不衛生だと問題視されてきた。雑菌などが含まれた井戸水や水道水を入れていた時代もあり、不衛生とのイメージが今でもつきまとう。

 タクシー運転手、ヘイン・ウィン・ナインさんは「おなかを壊すのでは。今まで一度も飲んだことがない」という。だが最近は清潔な飲料水を入れている場合が多いようで、水がめの代わりにミネラルウオーターの大きなボトルが置かれている所もある。(ヤンゴン 共同)