国交省、鉄道に日本版GPS実用化検討 保線作業効率化などに活用


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 国土交通省は、日本版の衛星利用測位システム(GPS)を担う準天頂衛星「みちびき」で得られる精度の高い位置情報を鉄道分野で活用する検討を始めた。保線作業の安全性向上や効率化、踏切の遮断時間の短縮などを視野に入れている。有識者や鉄道各社でつくる検討会を2月に設置、実用化に向けた方策を年内にまとめる。

 昨年本格稼働したみちびきは、専用の受信機を使えば誤差数センチの高精度の位置情報が得られる。従来のGPSは10メートルほどの誤差があり、列車が上下線どちらを運行しているのか判別できないなど活用には課題があった。

 列車が通過する合間に行う保線作業は見張り員を立て、運行ダイヤを確認しながら行うケースが多い。みちびきの位置情報で列車の接近を正確に把握できれば、適切な待避ができ、事故防止に役立つ。

 現在の踏切は、手前の地点で列車の通過を検知すると、速度に関係なく警報機が鳴り遮断機が下りる仕組みが一般的。GPSで速度を把握すれば、低速の列車では作動を遅めにすることが可能となり、自動車や歩行者の待ち時間を短くできる。検知の設備が不要になりコスト削減や保守作業の効率化につながる可能性もある。